~消防袢天(硫化染料染め)編~
工程① 【ご注文】
お客様のご要望をお聞かせください
弊社にて袢天といえば誂え物がほとんどです。
お客様には、ご予算・袢天の仕様(デザイン)・枚数・大きさなどお聞きします。
はじめての袢天を作る場合や、具体的なプランがない場合でも、
弊社がわかりやすくご提案させていただきます。
お見積・完成予想図を提示して、ご了解をいただきます。
工程② 【型紙】
デザイン・見積に基づき、型紙を作ります。
熟練の型紙職人の手によって、袢天作りの要(かなめ)、文様・柄の型紙が彫られます。
弊社の製品は、手彫りによる温かみのある線が特徴ともいえます。
下写真では、過去製作した袢天から、大紋のトレース(写し書き)を行い、型紙に移します。
昔は渋紙にて型紙をつくり出しましたが、現在では防水性に優れた用紙を使用。
この型紙は数年間に渡り、保存することができますので、追加注文の際には、枚数のみにて発注することができます。
工程③ 【糊置】
糊をつけて生地に文様(柄)を付けます。
糯米で作られた糊を、木枠につけた型紙を生地に置き、職人の手で、糊で文様(柄)を付けていきます。
弊社の染色技法はすべて手作業にて行われています。ですから、細かな連続柄は職人の腕の見せ所。
糊の成分は生地の特性にあわせて、水分やその性質を微調節していきます。
工程④ 【染色】
赤色の染色の場合
袢天の大紋に「赤さし」という工程を行います。
・まず、ナフトール(下地剤)を塗ります。
・乾燥したのち、Gベース(発色剤)を塗ります。
これらの工程にて、大紋が「金赤」になりました。
完成品
トレース
印刀にて型彫り
糊置
糊を置いた状態
ナフトール刷毛引き
Gベース刷毛引き
糊で赤部分を伏せる
工程④ 【染色2】
硫化染めについて
糊を乾燥させた後、硫化染めの染料釜に糊付けした生地を浸し、着色・定着させます。
生地の性質(生地質・厚み)ごとに、浸しておく時間は変わります。
しかし、現場の気温・染料の温度の変化などさまざまな要因でさらに状況は変化していきます。
時間は秒単位で決められていますが、染め職人には見極め・アドリブの要素も必要なのです。
工程⑤ 【水浄】
染色した生地を洗います。
糊付き生地を水洗機(厚手の生地・刺し子生地)にて落とします。
生地質が柔らかい・薄手の生地は一枚づつ、丁寧に手洗いを行います。
文様の箇所から、余分な染料・糊が剥がれ落ち、この時、はじめて袢天の全容がわかります。
袢天の品質の合否がここで決まりますので、油断できない工程でもあります。
工程⑥ 【乾燥】
張り手をかけて乾燥させます。
生地を乾かすには、やはり「天日干し」が一番理想的です。
一年中晴天というのが正直望ましいのですが、雨の日・梅雨の時期・風の強い日など袢天に
ダメージを与える情況に対応するため、弊社には工場内に巨大な乾燥室があります。
一年通して品質を保ちながら製造することができます。
工程⑦ 【裁断・縫製】
袢天をカタチにします。
無地の反物→柄が染まった反物を『前後身ごろ』・『両手袖』・『衿』など各部位ごとに裁断していきます。
裁断・寸法確認した後で、厚手ジーンズの重ね縫いも軽々とこなすミシン、それを扱う職人さんの技術により、美しい袢天がみるみるうちに完成していきます。
柄の合わせを美しく仕上げ続ける努力─。それは自然と「誇りを生み出す」ことに繋がっていきます。
工程⑧ 【納品】
伸子(シンシ)を掛ける
アルカリ溶液につける
硫化染料に沈める
ホース洗浄
洗浄機にて洗浄
張手で反物を引っ張り干す
寸法に合わせ裁断する
袢天の形にする
袢天があなたの元へ。
品質のチェックを受けた後、全国のお客様のもとへ配送されます。
地元のお客様には来店の際、試着・手渡しにて納品させて頂いております。
弊社では誂え品を扱うため、記念品の一点モノから、
将来を長く見据えた枚数モノまで、巾広く対応していく所存です。
お客様の満足度をいつまでも高い基準で得られるよう日々精進をかさねていきます。
袢天の完成
納品